
「収入が減れば、支出も自然と減るだろう」——退職前、私もそう思っていました。
でも父の銀行口座を一緒に確認したとき、年金から住民税・介護保険料・固定資産税がしっかり引かれているのを見て、正直驚きました。年金額は現役時代より少ないのに、税金や保険料はそのまま続いていたのです。
FP2級を取得して家計の知識はあるつもりでしたが、「自分ごと」として考えると改めてリアルに感じました。退職後の固定費は、思っているより根強く残ります。今回は、年金生活でも減らない固定費の一覧と、退職前にできる見直しポイントをまとめます。
年金生活でも続く「固定費」一覧
まず、退職後も継続してかかる主な固定費を整理しておきましょう。
① 住民税
住民税は前年の収入をもとに計算されるため、退職した翌年も現役時代と同水準の住民税がかかります。これが「退職翌年の住民税ショック」と呼ばれるもの。
在職中は給与から毎月天引きされていたので気づきにくいのですが、退職すると一括または分割で自分で支払う形になります。退職直後に大きな出費として発生することを、事前に知っておくだけで心の準備が違います。
② 健康保険料
退職後の健康保険は、主に2つの選択肢があります。
- 任意継続:在職中の保険をそのまま最長2年間継続。会社負担分もすべて自己負担になるため、保険料はほぼ倍になります
- 国民健康保険:前年収入をもとに保険料が決まります。高収入だった年の翌年は高くなりがち
どちらが有利かは収入状況によって異なります。退職前に概算を確認しておくことをおすすめします。
③ 介護保険料
40歳から支払いが始まる介護保険料は、65歳以降は年金から自動的に天引きされます。父の口座を確認したときに気づいたのも、まさにこれでした。
介護保険料は市区町村ごとに異なり、年金額に応じて変わります。「知らないうちに引かれていた」とならないよう、早めに把握しておきたい項目です。
④ 固定資産税
持ち家がある場合、毎年5月頃に固定資産税の通知が届きます。土地と建物の評価額をもとに計算されるため、収入が減っても税額は変わりません。年間で数万円〜十数万円になるケースも多く、まとまった支出として家計計画に組み込んでおく必要があります。
⑤ 民間保険料
加入したままになっている生命保険・医療保険も固定費のひとつ。現役時代に加入した保障がそのまま続いているご家庭は多いですが、子どもが独立した後は必要な保障額が変わっていることがほとんどです。
固定費を「見える化」するとわかること
退職後の家計を安心して回すために、まず固定費を一覧にして「見える化」することが大切です。
| 固定費の種類 | 退職後の注意ポイント | |---|---| | 住民税 | 退職翌年も前年収入で課税。一括払いに注意 | | 健康保険料 | 任意継続か国民健康保険か、早めに試算を | | 介護保険料 | 65歳以降は年金から自動天引き | | 固定資産税 | 収入に関係なく毎年発生 | | 民間保険料 | 子どもの独立後は保障内容を見直す好機 |
書き出してみると「思ったより多い」と感じる方も多いはず。でも把握することで、対策が立てられます。
退職前にできる3つの見直し
① 民間保険の棚卸し
保険の見直しは、退職前のタイミングが最適です。必要な保障を整理し、不要な特約や重複している保険を削減するだけで、月数千円〜1万円以上の節約になることもあります。
② 通信費の見直し
スマホを格安SIMに切り替えるだけで、月数千円の節約になります。家族割やシニア向けプランも年々充実してきています。退職後の収入が減るタイミングに合わせて、見直しておくと安心です。
③ 退職翌年の住民税分を積み立てておく
退職翌年に現役時代並みの住民税が来ることは、ほぼ確実です。退職前から月1〜2万円を積み立てておくか、退職金の一部をとっておくと、慌てずに済みます。
まとめ|備えれば、年金生活は怖くない
父の口座を見て気づいたのは、「知っているつもり」と「実際に体感すること」は違う、ということ。住民税も介護保険料も、数字として知っていても、実際に引かれているのを目にするとリアルさが違いました。
退職後の固定費は、事前に把握して準備しておけば怖くありません。まずは今月の固定費をすべて書き出すことから始めてみてください。
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